目 次
米国株、次の暴落はいつ?
3つの最悪シナリオと下落率
「AIバブルは崩壊する?」「S&P500はもう終わり?」そんな不安を抱えるあなたへ。2025年後半、あなたの資産を揺るがす暴落の可能性と、その時に備えるべき全知識を、専門家の分析と歴史的データから徹底解説します。
この記事を読めば、すべてが分かります
- 米国株暴落は本当に起こるのか?
- 暴落が起きる場合の3つのシナリオと具体的な下落率(-15%? -30%? -40%超?)
- 暴落の引き金となる3大リスク要因とそれぞれの破壊力
- 過去の暴落から学ぶ「絶対にやってはいけないこと」
- 暴落に備え、むしろチャンスに変えるための3つの具体的なアクションプラン
結論:米国株の暴落は「起こる前提」で備えるべき
まず結論からお伝えします。米国株の暴落は、過去に何度も起きており、これからも必ず起こります。問題は「起こるか、起こらないか」ではなく、「いつ、なぜ、どのくらいの規模で起こるか」を理解し、冷静に備えることです。
歴史を振り返ると、S&P500は1928年以降、年に平均▲16.4%の下落を経験しています。つまり、10%や20%程度の下落は、長い投資の歴史の中では「よくある調整」なのです。メディアの過剰な報道に惑わされず、まずはこの事実を冷静に受け止めましょう。
S&P500は暴落を乗り越え成長してきた(1985〜2024年)
過去の暴落は、長期的な成長トレンドの中の一時的な落ち込みに過ぎません。
【本題】2025年、警戒すべき3つの暴落シナリオと下落率予測
では、具体的にどのような暴落が、どのくらいの確率と規模で起こりうるのでしょうか。現在の経済情勢から考えられる3つのシナリオを予測しました。
シナリオ①
短期調整シナリオ
-10%〜-15%
発生可能性: 高
過熱感からの利益確定売りや、トランプ政権の散発的な関税強化の「脅し」などが引き金となる、歴史的にも頻繁に起こる健全な調整。
シナリオ②
弱気相場シナリオ
-20%〜-30%
発生可能性: 中
対中関税の部分的発動やインフレ再燃により、企業業績が悪化する展開。「コロナショック」級の本格的な景気後退懸念が広がる。
シナリオ③
金融危機シナリオ
-40%以上
発生可能性: 低
米国の巨額債務問題が顕在化するなど、構造的な問題が表面化。「リーマンショック」級の深刻な金融危機へと発展する最悪のケース。
暴落の引き金はどれだ?3つの時限爆弾と想定下落率
上記のシナリオは、単なる憶測ではありません。現在の市場には、いつ爆発してもおかしくない3つの大きなリスク要因が存在します。それぞれの破壊力を具体的に見ていきましょう。
リスク要因 | 特徴 | S&P500 想定下落率 |
---|---|---|
① トランプ関税 | 予測不能で突発的 | -15% 〜 -30% |
② AIバブル懸念 | 過度な期待が剥落するリスク | -15% 〜 -25% |
③ 米国の債務問題 | 長期的かつ構造的な問題 | -40%以上 |
各リスクの詳細解説を見る
①政治リスク:「トランプ関税」という最大の不確実性
トランプ政権は「減税」などのプラス政策と、「関税強化」などのマイナス政策を使い分け、支持率をコントロールしようとします。これにより、経済政策の先行きが極めて不透明になっています。何らかのネガティブニュースをきっかけに、市場の楽観が一気に剥がれ落ちるリスクがあります。
②バリュエーションリスク:「AIバブル」は本当に崩壊するのか?
結論から言うと、「バブル」と断定するのは時期尚早です。90年代のITバブルと比較しても、現在のAIブームはまだ初期段階にあります。さらに重要なのは、NVIDIAなどのAI関連企業の驚異的な業績の伸びが、株価の上昇を上回っている点です。ただし、市場の期待値が非常に高いことも事実であり、期待を裏切る決算が出た場合は、急落の引き金となり得ます。
③構造的リスク:専門家が警告する「静かなる時限爆弾」
『ブラック・スワン』の著者ナシム・タレブ氏が警告するのが、米国の巨額の政府債務問題です。これは目に見えているにも関わらず、多くの人が無視している「ホワイト・スワン」だと同氏は指摘します。いずれ、国の予算で借金の利払い額が最大になった時、深刻な債務危機に陥る可能性があります。
参考:トランプ政権下での株価の乱高下(詳細年表)
特に重要なリスク要因である「トランプ政権」の行動は、株価にどのような影響を与えてきたのでしょうか。単純な上げ下げではなく、「市場の混乱を誘発した後に、融和的な姿勢で回復させる」という特徴的な動きを詳細な時系列で振り返ります。
2018年後半:米中貿易摩擦と「クリスマスショック」
米中間の関税の応酬が激化し、世界経済への悪化懸念が強まりました。これにより年末にかけて株価が急落しました。
S&P500への影響: 約-20%下落
2019年初頭:金融緩和と姿勢の軟化
FRBが利上げ停止を示唆。急落に驚いたトランプ大統領も対中姿勢をやや軟化させ(通称「トランプ・プット」)、株価はV字回復しました。
S&P500への影響: V字回復し、年間でプラスへ
2025年1月〜4月:「米相互関税ショック」
第2次政権発足後、支持層向けに再び強烈な関税強化を先行させたため、市場は混乱し、株価は大きく下落しました。
S&P500への影響: 約-20%下落
2025年4月〜9月:政策転換と株価回復
市場の混乱を受け、大統領は関税引き下げを示唆。FRBの利下げ期待も加わり、S&P500は史上最高値を更新するまで力強く持ち直しました。
S&P500への影響: 史上最高値まで回復
2025年10月:追加関税の再予告
株価が最高値圏に達したことで、トランプ大統領は再び対中100%追加関税を予告。市場に再び緊張が走っているのが「今」です。
S&P500への影響: 下落トレンド発生中
【暴落時に備える】行動の差で資産はこう変わる!
暴落時に感情的な行動を取ると、資産にどれほどの差が生まれるのでしょうか。仮に100万円の資産が30%暴落して70万円になったと仮定し、その後の資産の推移をシミュレーションしてみましょう。
【シミュレーション】暴落後の資産回復シナリオ
過去の暴落では、株価が元の水準に回復するまで、コロナショックで約5ヶ月、リーマンショックでは約4年半かかりました。狼狽売りは、この回復の恩恵をすべて放棄する行為です。
ご覧の通り、「狼狽売り」をしてしまうと、その後の市場回復の恩恵を全く受けられず、大きな機会損失を生むことが分かります。これが、暴落時に冷静さを保つべき最大の理由です。
【結論】暴落をチャンスに変える「守りの3階建て」プラン
では、私たちは暴落に備えて具体的に何をすべきなのでしょうか。守りを固め、暴落をチャンスに変えるための3つのアクションプランを、「備えのピラミッド」としてご紹介します。土台から順に固めていくことが重要です。
3つのプランの詳細解説を見る
Plan①:【絶対的な土台】ルール作りと余剰資金での投資
まず最初に固めるべき資産防衛の基礎です。生活に影響のない「余剰資金」で投資を行い、「資産全体で〇〇%下落したら個別株の一部を売却する」といった自分なりの損切りルールを事前に決めておきましょう。これがなければ、他の戦略は意味をなしません。
Plan②:【守りの中核】ポートフォリオの分散
土台が固まった上で、暴落時のダメージを軽減するための重要な戦略です。株式だけでなく、現金や債券などの値動きの異なる資産を組み合わせることで、資産全体の値動きをマイルドにします。平時のうちに資産配分を見直しておきましょう。
Plan③:【攻めの備え】「買い増し資金」の準備
守りを固めた投資家が、暴落を攻めのチャンスに変えるための応用戦略です。生活防衛資金とは別に、いざという時に追加投資できる余剰資金(現金)を確保しておきましょう。これにより、優良資産のバーゲンセールに参加できます。
まとめ:未来は予測できない。だからこそ「備え」が全て
- 米国株の暴落(▲15%前後)は、歴史的に見れば「当たり前」に起こると心得る。
- 2025年後半は「短期調整(-15%)」「弱気相場(-30%)」「金融危機(-40%超)」の3つのシナリオを想定する。
- 引き金は「トランプ関税」「AI関連株の動向」「米国の債務問題」の3つを注視する。
- 暴落時に「狼狽売り」「積立中止」は絶対にしない。事前に決めたルールに従い、冷静に行動し、市場に居続けることが最重要。