目 次
そもそも「SDS法」って何?
まず結論から。SDS法とは、Summary(概要)→ Details(詳細)→ Summary(まとめ)の頭文字を取った、プレゼンテーションの基本的な構成術です。
なぜ、このシンプルな構成が、特に社内向けの企画書で絶大な効果を発揮するのでしょうか?
それは、あなたの話を聞く上司が、超多忙だからです。
役職が上がるほど、彼らは1日に何十もの案件に目を通します。彼らが知りたいのは細かい話の枝葉ではなく、「①この話の全体像は何か? ②結論は何か? ③判断するための根拠は何か?」の3つだけです。
SDS法は、最初に「全体像と結論」を伝え、次に「根拠」を示し、最後に「念押し」する、忙しい上司の思考回路に完璧にマッチしたフレームワークなのです。
【図解】SDS法を使った企画書の3ステップ
では、具体的にパワポでどうやってSDS法を形にしていくのか。架空の企画「社内報リニューアル企画」を例に、3つのステップを見ていきましょう。
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STEP 1
Summary (概要):最初の1枚で、心をつかむ
このパートの目的は、たった1枚のスライドで企画の全貌とメリットを伝え、上司に「お、この話は聞く価値がありそうだ」と思わせることです。
悪い例 (Before)
いきなり細かい現状分析から入ってしまい、ゴールが見えない…。
良い例 (After)
「背景・課題・解決策・効果」をまとめ、この1枚で全てが分かる!
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STEP 2
Details (詳細):納得感を高める「根拠」を示す
最初のSummaryで示した結論を裏付ける「根拠」を、ストーリー立てて丁寧に説明していきます。
悪い例 (Before)
情報の羅列で、スライド間の繋がりが不明…。
良い例 (After)
「課題→解決策→計画」という明確なストーリーで構成!
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STEP 3
Summary (まとめ):念押しと「次の一歩」の提示
議論をまとめ、上司に「次に何をしてほしいのか(承認など)」を明確に伝えて、会議を締めます。
悪い例 (Before)
「ご清聴ありがとうございました」だけで、相手が取るべき行動が不明…。
良い例 (After)
「まとめとお願い」を明確に示し、次のアクションを促す!
【応用編】PREP法との使い分けで、あなたはもう迷わない
SDS法とともによく聞くフレームワークに「PREP法」があります。「一体どっちを使えばいいの?」と混乱する方も多いのではないでしょうか。
心配無用です。この2つは目的が全く違うため、使い分けは非常にシンプルです。以下の表を見てください。
SDS法 | PREP法 | |
---|---|---|
目的 | 背景を共有し、 相手の合意形成を促す |
結論を簡潔に伝え、 事実を素早く共有する |
得意な場面 | 企画、提案、プレゼン | 報告、連絡、相談、質疑応答 |
時間の長さ | 中〜長尺(5分〜) | 短尺(〜3分) |
構成 | 概要 → 詳細 → まとめ | 結論 → 理由 → 具体例 → 結論 |
イメージ | 物語を語る |
ニュースを報じる |
覚え方はこれだけ!
「人を動かしたい提案・企画はSDS法、事実を伝える報告・連絡はPREP法」
例えば、上司に「先週の営業成績を教えて」と言われたらPREP法で簡潔に報告し、「来期の営業戦略を提案して」と言われたらSDS法でじっくり説明する。この使い分けができるだけで、あなたの評価は確実にワンランクアップします。
【ちょい足しテク】資料が劇的に見やすくなる「フォント」と「色」の鉄則
素晴らしい構成も、見た目がごちゃごちゃでは台無しです。「センスがないから…」と諦める必要はありません。たった2つの鉄則を守るだけで、あなたの資料は驚くほどプロっぽく、見やすくなります。
フォントの鉄則:迷わず「游ゴシック」を使う
社内資料で使うフォントは、WindowsとMacの両方に標準搭載され、可読性も高い「游ゴシック」が最適解です。変に凝ったフォントは読みづらさを生むだけ。シンプルが一番です。
良い例:游ゴシック
読みやすく、クリーンな印象を与えます。長文でも疲れにくいのが特徴です。
悪い例:MS P明朝
線が細く、モニター上ではかすれて読みにくい場合があります。プレゼン資料には不向きです。
色の鉄則:「3色だけ」に絞る
カラフルな資料は、逆にどこが重要か分からなくなります。色は「ベース・メイン・アクセント」の3色に絞りましょう。割合は「70%:25%:5%」が黄金比です。
まとめ:構成の「型」が、あなたを資料作成の悩みから解放する
センスや才能に頼らなくても、伝わる資料は作れます。今回解説した鉄板の「型」を、ぜひあなたの武器にしてください。
- 構成は「SDS法」で組む:(概要→詳細→概要)の順番を徹底する。
- 場面で使い分ける:報告はPREP法、人を動かす提案はSDS法と使い分ける。
- 見た目を整える:フォントは「游ゴシック」、色は「3色」の鉄則を守る。
- 最後にお願いを明確に:「承認」「検討」など、相手にしてほしいアクションを伝える。
まずは、あなたが次に作る簡単な報告資料からでも構いません。ぜひ、このSDS法を意識して、構成を組み立ててみてください。きっと、あなたの資料の「伝わり方」が劇的に変わるはずです。
次のステップ:伝わる「グラフ」の作り方
ロジカルな構成が完成したら、次はその説得力を倍増させる「分かりやすいグラフ」が不可欠です。
「なんとなくExcelで作ったグラフ」が、どれだけ損をしているかご存知ですか?
次回の記事では、あなたのExcelグラフを「一瞬で伝わる」最強のビジュアルに変える、具体的な改善テクニックをBefore/After形式で徹底図解します。