【2027年4月改正】労災保険はどう変わる?夫の55歳要件撤廃・時効2年→5年を解説
情報確認日:2026年8月14日|令和8年法律第60号対応
2027年4月1日から労災保険が改正され、 遺族補償年金の夫婦間の男女差が縮小され、一定の労災疾病では請求権の時効が2年から5年へ延長 されます。
ただし、 すべての労災請求が一律5年になるわけではありません。 時効延長の対象は、 業務との関係を容易に判断できない疾病として政令で定められる疾病 です。 厚生労働省は現時点で、脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病を想定例として示しています。
ここだけ読めば分かる要点
- 改正法は 2026年7月10日に成立、7月17日に公布 されました
- 主要部分は 2027年4月1日施行 です
- 夫だけにあった年齢・一定の障害要件が撤廃 されます
- 遺族が1人の場合は 原則として給付基礎日額175日分 になります
- 「時効2年→5年」は全ての疾病・給付が対象ではありません
- 小規模農林水産業の改正は 2027年4月1日とは別の施行日 です
「労災の時効が全部5年になった」と理解しない
2027年4月から、労災保険のすべての請求期限が5年へ延長されるわけではありません。 障害補償給付や遺族補償給付等は現在も5年です。 今回の改正では、現在2年となっている療養・休業・葬祭・介護等のうち、 政令指定疾病に関係する請求権 が5年になります。
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30秒で自分に関係する改正を確認する
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遺族補償年金の改正を優先して確認
特に亡くなった労働者が妻で夫が遺族となる場合、 夫だけにあった年齢・一定障害要件の撤廃 が重要です。 ただし、 2027年4月1日より前に支給事由が生じたケースには経過措置があります。
時効2年→5年の改正を優先して確認
脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病などが想定されていますが、 具体的な対象疾病は政令で最終確定 します。 今すでに請求を検討しているなら、 施行を待たずに現在の請求期限を確認 してください。
請求期限より先に証拠を失わないことが重要
「5年になるから急がなくてよい」と考えないでください。 勤務記録、残業時間、診療記録、会社との連絡内容などを早めに保存します。
特別加入団体と農林水産業の改正を確認
特別加入団体には法令上の要件が設けられます。 一方、小規模農林水産業の一部に関する改正は 2027年4月1日とは別の日に施行 されます。
2027年4月の労災保険改正は何が変わる?5項目で整理
今回の改正は遺族年金と時効だけではありません。 労災保険のセーフティネット全体を見直す複数の改正 が含まれています。
夫だけにあった年齢・障害要件を撤廃
改正後は、 妻と夫を「配偶者」として扱う方向に整理 されます。
遺族が1人なら原則175日分
現在の原則153日分から、 給付基礎日額の175日分 へ見直されます。
一定疾病に限り2年から5年へ
すべての病気ではありません。 療養・休業・葬祭・介護等のうち、政令で指定される疾病に関する請求権が対象です。
特別加入団体・不服申立て・農林水産業も変更
特別加入団体の要件法定化や業務改善命令制度 なども整備されます。
| 改正項目 | 主な変更 | 施行 |
|---|---|---|
| 夫の遺族補償年金要件 | 夫だけに課された年齢・一定障害要件を撤廃 | 2027年4月1日 |
| 遺族1人の年金額 | 原則153日分から175日分へ | 2027年4月1日 |
| 一定疾病の時効 | 対象となる2年時効の請求権を5年へ | 2027年4月1日 |
| 特別加入団体 | 団体要件を法令化し、改善命令制度等を整備 | 2027年4月1日 |
| 小規模農林水産業 | 暫定的な任意適用制度を廃止 | 公布から5年以内の政令指定日 |
遺族補償年金の男女差はどう変わる?夫の年齢要件を撤廃
今回の改正で大きく変わるのが、 労働者が死亡した場合の「夫」と「妻」の扱い です。
現行制度では、妻が配偶者として受給資格者になり得る一方、 夫には原則として 妻の死亡時に55歳以上または一定の障害状態 という条件があります。
2027年4月以降の新規事案では重要な変更
夫だけに課されていた年齢・一定障害要件が撤廃 されます。 ただし、生計維持や遺族の順位など別の要件は残ります。
年齢要件撤廃そのものによる変化は小さい
妻は現行制度でも夫のような年齢要件がありません。 一方、 遺族が1人の場合の年金額175日分への統一 は確認しておきたい変更です。
経過措置を確認
施行日前に支給事由が生じたケースには旧ルールが残る部分があります。 「2027年4月になれば自動的に新ルールになる」と判断しないでください。
55歳と60歳の数字が両方出てくる理由
現行制度では、55歳以上60歳未満の夫も一定の場合に受給資格者となり得ますが、 原則として60歳になるまで年金が支給停止になる 「若年停止」 があります。
改正前と改正後を比較する
| 項目 | 改正前 | 2027年4月以降 |
|---|---|---|
| 妻 | 配偶者として受給資格者になり得る | 配偶者として受給資格者になり得る |
| 夫 | 年齢・一定障害の条件あり | 夫だけの年齢・障害要件を撤廃 |
| その他の要件 | 生計維持・順位等 | 生計維持・順位等は引き続き確認 |
夫なら誰でも自動的に年金を受け取れるわけではありません
男女差に関する要件が見直されても、 死亡した労働者の収入によって生計を維持していたこと や遺族間の順位など、別の支給要件があります。
左に「改正前:妻○/夫は年齢等の条件あり」、 右に「2027年4月~:夫だけの年齢・障害要件を撤廃」とすると理解しやすくなります。
alt属性案:2027年4月の労災保険改正で遺族補償年金の夫の年齢要件が撤廃される図
遺族が1人の場合の年金額は153日分から175日分へ
もう一つの大きな変更が、 遺族が1人の場合の遺族補償年金等の額 です。
現行制度では原則として給付基礎日額の153日分で、 遺族が55歳以上または一定の障害状態にある妻1人の場合には175日分となる特例があります。
改正後は、 遺族が1人なら原則として給付基礎日額の175日分 になります。
153日分と175日分を比較する
| ケース | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 一般的な遺族1人 | 153日分 | 175日分 |
| 55歳以上・一定障害の妻1人 | 175日分 | 175日分 |
175日分で支給が終了するという意味ではありません
「175日間しか年金を受け取れない」という意味ではありません。 175日分は、 年金額を計算するときの給付基礎日額の倍率 です。
2027年4月より前の死亡・受給中の人はどうなる?
改正法では、 施行日前にすでに支給事由が生じた遺族補償年金等 について経過措置が設けられています。
過去の事案がすべて新制度へ切り替わるわけではありません
施行日前に支給事由が生じたケースの遺族の範囲・順位、受給権の消滅、支給停止等には旧ルールが残ります。
経過措置の考え方を3点で確認する
- 2027年4月1日前に支給事由が生じた遺族の範囲・順位等 → 従前の例による部分があります
- 2027年4月1日前の期間に対応する年金額 → 従前の例による経過措置があります
- すでに受給中の場合 → 2027年4月以降の具体的な通知・支給額を確認 します
請求時効2年→5年の本当の意味を給付別に確認する
労災保険では現在でも、 給付の種類によって「2年」と「5年」が分かれています。
現在は原則2年
政令指定疾病に関する療養補償給付等では、 2027年4月以降、5年となるケース があります。
休業補償給付等も現在は原則2年
一定の指定疾病に関するものは改正対象となります。 一般の事故による休業が全部5年になるわけではありません。
遺族補償給付等は現在も5年
遺族補償給付の時効が今回2年から5年になるわけではありません。
障害補償給付等も現在から5年
今回の「2年→5年」の中心ではありません。
現在の時効と2027年改正を表で比較する
| 主な給付 | 現在 | 2027年4月以降 |
|---|---|---|
| 療養補償給付等 | 2年 |
政令指定疾病の場合は
5年 それ以外は原則2年 |
| 休業補償給付等 | 2年 | |
| 葬祭料等 | 2年 | |
| 介護補償給付等 | 2年 | |
| 障害補償給付等 | 5年 | 5年 |
| 遺族補償給付等 | 5年 | 5年 |
記事で最も重要な注意点
「労災の時効は2027年から5年」と一括りにしないでください。 給付の種類、疾病、発生時期によって異なります。
従来の時効ルールをまず確認
改正法には経過措置があります。 「2027年まで待てば5年になる」と考えて請求を遅らせないでください。
政令指定疾病かを確認
施行後でも、 すべての疾病が5年になるわけではありません。
発生日を自己判断しない
職業病では基準となる時点の判断が単純ではないことがあります。 診断日、受診歴、業務歴を整理して労働基準監督署へ相談してください。
どの病気なら時効5年?現在分かっている範囲を確認
厚生労働省の改正概要では、 脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病 が具体的な想定例として示されています。
対象として想定されている分野
長時間労働等との関連が問題となる脳・心臓疾患が想定されています。 ただし、 最終的な疾病範囲は政令確認が必要 です。
精神疾患も想定例
強い心理的負荷等と業務との関係が問題となる精神疾患が想定されています。 「精神疾患なら全て5年」とはまだ言えません。
石綿関連疾病も想定例
長い潜伏期間を持つ石綿関連疾病が対象候補として示されています。
現時点では政令待ち
その他の疾病が対象になるかは、 今後公布される政令等を確認 する必要があります。
「想定」と「法令上の確定」を分ける
脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病がすべて無条件で5年になると確定したわけではありません。 2026年8月14日時点では、法律上の対象は 「政令で定める疾病」 とされています。
一人親方・農林水産業・不服申立ても変わる
一人親方などの特別加入団体の要件を法令化
一人親方などが労災保険へ特別加入する場合、 特別加入団体を通じて手続きを行う仕組みがあります。
改正後は、現在通達等で定められている 労災保険関係業務や災害防止活動を適切に実施できることなどの団体要件 が法令に位置付けられます。
また、運営に改善が必要な団体には 業務改善命令 を行える仕組み等が設けられます。
一人親方の給付額が自動的に増える改正ではありません
今回の中心は 特別加入を取り扱う団体の適正な運営 です。
社会復帰促進等事業の不服申立てルートも変更
社会復帰促進等事業の一定の決定について、 労災保険給付と同様に 労働者災害補償保険審査官への審査請求 等ができる仕組みへ見直されます。
小規模な農林水産業の任意適用措置を廃止
現在、一部の小規模な個人経営の農林水産業には、 労災保険の暫定的な任意適用制度があります。 改正法ではこの措置を廃止し、 労災保険の適用事業とする方向 です。
この改正だけ施行日が異なる
小規模農林水産業の強制適用化は2027年4月1日ではありません。 2026年7月17日の公布から 5年を超えない範囲で政令が定める日 に施行されます。
時効で困らないために、今から残すべき5つの記録
時効が延びる可能性があっても、 時間がたつほど証拠を集めにくくなる点は変わりません。
-
事故・発症の日時と場所を残す
いつ、どこで、どの業務中に症状や事故が発生したかを整理します。
-
勤務実態を保存する
タイムカード、シフト、残業記録、メール、チャット、業務指示などを保存します。
-
受診記録を保存する
医療機関名、受診日、診断名、症状が始まった時期を残します。
-
給付の種類を確認する
療養、休業、障害、遺族、葬祭、介護など、状況により請求する給付が異なります。
-
労働基準監督署へ早めに確認する
「2027年になれば期限が延びる」と自己判断して待たない ことが重要です。
会社が「労災ではない」と言っても、それだけで請求できなくなるわけではありません
労災保険給付は、労働者や遺族が所定の請求を行い、 労働基準監督署が必要な調査を行って判断 します。
あなたの立場を選ぶと「今やること」が分かる
遺族補償年金と公的年金を分けて確認
- 死亡が業務・通勤に関係するか整理
- 遺族補償年金の受給資格・順位を確認
- 2027年4月前後の支給事由発生日を確認
- 遺族厚生年金・遺族基礎年金は別制度として確認
時効延長より先に現在の請求期限を確認
- 診断日・初診日・発症経緯を整理
- 勤務記録・残業記録を保存
- 現在2年時効の給付がないか確認
- 労働基準監督署へ早めに相談
2027年施行前に社内資料を更新
- 労災発生時の社内連絡ルートを確認
- 古い遺族年金の男女要件を見直す
- 人事・労務担当者へ改正を共有
- 政省令・請求様式の更新情報を確認
加入している特別加入団体を確認
- 自分の特別加入区分を確認
- 団体から届く改正案内を保存
- 給付基礎日額を確認
- 団体変更等は公式情報確認後に判断
○×クイズで2027年労災保険改正の勘違いを確認する
回答をクリックすると解説が表示されます。
2027年4月から、すべての労災請求の時効が5年になる。○か×か?
夫だけに課されていた年齢・一定障害要件は撤廃される。○か×か?
小規模農林水産業の強制適用化も2027年4月1日から始まる。○か×か?
2027年4月より前の事案にも、新しい5年ルールが自動的にさかのぼる。○か×か?
労災の遺族補償年金と遺族厚生年金は別制度
名前が似ていますが、 2027年の労災保険改正と2028年の遺族厚生年金改正は別の制度 です。
| 制度 | 主な根拠 | 今回の記事との関係 |
|---|---|---|
| 遺族補償年金 | 労災保険 | 2027年4月改正の対象 |
| 遺族厚生年金 | 公的年金制度 | 別制度の改正 |
何を確認したいか選ぶと相談先が分かる
管轄の労働基準監督署へ
時効が近い可能性がある場合は、改正施行を待たず確認 してください。
まず労働基準監督署へ相談
仕事内容、発症経緯、勤務記録、診療情報などを整理して相談します。
厚生労働省の請求様式ページを確認
給付によって様式が異なるため、 自分が請求する給付の種類を先に確認 します。
労災保険相談ダイヤル
0570-006031
受付:平日9時~17時
利用前に厚生労働省公式ページで最新の電話番号・受付時間をご確認ください。
相談前に用意したい情報を表示する
- 事故・発症した時期
- 勤務先・仕事内容
- 病名・診断日・受診先
- 休業期間
- すでに請求した給付の有無
- 死亡事案なら死亡日・遺族との関係
- 勤務記録・残業記録・会社とのやり取り
2027年の労災保険改正でよくある質問
労災の請求期限は全部5年になりますか?
いいえ。 すべての請求期限が5年になるわけではありません。 政令で定める一定の疾病について、現在2年となっている療養・休業・葬祭・介護等の請求権が5年になります。
精神疾患なら必ず時効5年になりますか?
2026年8月14日時点では、 「必ず5年」とは言えません。 厚生労働省は精神疾患を想定例として示していますが、 最終的な対象範囲は政令を確認する必要があります。
脳梗塞や心筋梗塞も5年になりますか?
脳・心臓疾患は対象として想定されている分野ですが、 最終的な疾病範囲は政令確認が必要 です。
遺族補償給付の時効も2年から5年になりますか?
いいえ。 遺族補償給付等の請求権は現在も5年です。
妻が亡くなった場合、若い夫も遺族補償年金の対象になりますか?
2027年4月の改正では、 夫だけに課されていた年齢・一定障害要件が撤廃 されます。 ただし、生計維持や遺族順位など別の支給要件があります。
遺族が1人なら年金額はどう変わりますか?
改正後は原則として 給付基礎日額の175日分 となります。
2026年に発症した病気も5年時効になりますか?
自動的にはなりません。 施行日前の事案には経過措置があります。 現在の請求期限を労働基準監督署へ確認してください。
小規模な農家も2027年4月から必ず労災保険へ入るのですか?
2027年4月1日からではありません。 公布から5年以内の政令指定日 に施行されます。
最後に5項目をクリックして確認する
最終結論
2027年4月の改正では、 夫だけにあった遺族補償年金の年齢・一定障害要件が撤廃 され、遺族が1人の場合は 原則として給付基礎日額175日分 となります。
また、業務との関係を容易に判断できない一定疾病については、 現在2年の療養・休業・葬祭・介護等の請求権が 5年へ延長 されます。
最も重要なのは、 「労災の時効は全部5年になる」と覚えないことです。 疾病、給付、発生時期によって扱いが異なります。
参考資料・公式情報
この記事で確認した一次資料を表示する
- 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第60号)について 厚生労働省/法律・概要・新旧対照条文・通達/確認日:2026年8月14日
- 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の概要 厚生労働省/夫の要件撤廃、175日分、時効延長、対象疾病の想定等/確認日:2026年8月14日
- 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律 本文 厚生労働省/法本文、施行日、経過措置/確認日:2026年8月14日
- 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の公布について 厚生労働省/2026年7月10日成立、7月17日公布/確認日:2026年8月14日
- 労働者災害補償保険法 e-Gov法令検索/現行法・未施行改正の確認/確認日:2026年8月14日
- 労災補償 厚生労働省/労災保険制度・改正情報/確認日:2026年8月14日
- 労災保険給付関係請求書等ダウンロード 厚生労働省/請求様式・相談先/確認日:2026年8月14日
2026年8月14日時点で未確定の事項
改正法の施行に必要な関係政令・省令等は今後整備されます。 特に、 時効5年の対象となる具体的な疾病範囲 は政令公布後に再確認する必要があります。
個別判断について
本記事は2026年8月14日時点の公表資料を基にした一般的な制度解説です。 労災認定、請求権の起算点、消滅時効、遺族の受給資格・順位、経過措置 は事故・疾病・死亡の時期や個別事情によって異なります。 実際の請求期限や受給可否は、管轄の労働基準監督署等へ確認してください。


